やつが、起きた。

ペット 犬

10歳になったころから、海は毎朝4時前後に私を起こす。

ぴったり4時というより、±15分。
3時45分の日もあれば、4時10分の日もある。

なぜその時間なのかは分からない。
ただひとつ確かなのは、私は爆睡中だということだ。

冬の札幌はまだ真っ暗で、家の中はしんと静まり返っている。
人間の活動時間ではない。

最初の頃は犬パンチだった。
バシッ、と遠慮のない一撃。
しかも一発で終わらない。

だが半年前くらいから、戦法が変わった。

枕元に回り込み、
無言で私の髪の毛を掘る。

ザッ、ザッ、ザッ。

静かだが確実に眠りを削ってくる攻撃。

目が覚めた瞬間、理解する。

やつが、起きた。

うわあ……

横を見ると、使命に燃えた顔。
朝の任務を遂行する者の顔だ。

一方、そらは「ご飯」と言うまで絶対に起きない。
同じ家、同じ時間、同じごはん。

なぜ海だけがそこまで使命を背負っているのか。

しかも起こした本人は、そのあと満足して再び眠る。

解せん。

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