夜になると、海とそらはだんだん眠そうな顔になってくる。
目はとろんとしてくるし、動きもゆっくりになる。
見ていると「ああ、そろそろ寝る時間だな」という空気になる。
でも、なぜか寝ない。
クッションもあるし、毛布もある。
そらはクッションに顔をのせて、今にも眠りそうな体勢。
海も床に座り込んで、すっかり休む姿勢になっている。
それなのに、寝ない。
理由はとてもはっきりしている。
まだ布団が敷かれていないから。
海とそらは、夜になると人の布団で寝る。
これはもう、いつのまにか当たり前になった習慣だ。
だから布団が敷かれるまでは、どれだけ眠くても本気では寝ない。
クッションはあくまで「仮眠場所」らしい。
海はときどきこちらを横目で見る。
明らかに「まだ?」という顔だ。
そらはクッションに顔をのせて、ほとんど夢の入口にいるような顔をしている。
それでも完全には眠らない。
眠い。
でも寝ない。
どうやら二匹なりの意地があるらしい。
ここで寝てしまったら、
布団が敷かれたときに出遅れるかもしれない。
そんなことを考えているのかどうかは分からないけれど、
とにかく先には寝ない。
そして人間のほうが、その空気に気づいてしまう。
眠そうな顔でこちらを見ている二匹。
静かな催促。
結局、根負けするのはいつも人間のほうだ。
「はいはい、敷きますよ」
そう言って布団を広げる。
するとさっきまで眠そうだった海とそらが、すっと立ち上がる。
そして布団の上にやってきて、こちらを見る。
その顔はまるで、
「ちょっと遅いんですけど?」
そんな表情。
どうやら海とそらにとって、
布団はただの寝場所ではなく、
夜の当然の定位置らしい。
こうして今日もまた、
眠気と意地で布団を待つ海とそらと、
催促に負けて布団を敷く人間の夜が始まる。

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