奪われたクッション。選ばれた膝。

ペット 犬

静かな午後、小さな事件が起きた。

海が、そらのお気に入りのクッションをちゃっかり確保。
丸くなって、そのまま眠る準備万端だ。

早い。
そして迷いがない。

そらは少し離れた場所から、その様子を見ていた。
一瞬こちらを見る。
なんとも言えない、あの顔。

「……見てるよね?」

そんな心の声が聞こえてきそうだ。

取り返しに行くのかと思った。
けれど動かない。吠えない。怒らない。

数秒考えたあと、
すっと私の膝に乗ってきた。

あ、そっち?

クッションは海に譲ったらしい。
その代わりに選んだのは、いちばんあたたかい場所。

落ち着いたあと、そらがこちらを見上げる。
どや顔だ。

一方の海は、まったく気づかず夢の中。
クッションを抱え込んで、満足そうに眠っている。

クッションを選んだ海。
膝を選んだそら。

どちらが正解でも、不正解でもない。
ただ、そのとき一番心地いい場所に落ち着いただけ。

小さな出来事だけれど、
それぞれが満足しているなら、それで十分。

私の膝は少し重たいけれど、
心はやけにあたたかい。

今日も我が家は平和運行中。

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